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2024年2月28日 (水)

城南宮 春の山と平安の庭

過去の全記事  2006年1月27日から毎日更新しています。

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※写真は全てクリックで拡大します。

昨日の記事に続いて、城南宮の神苑「楽水苑」に入りました。『源氏物語』に描かれた80種あまりの草木が植栽され、源氏物語花の庭ともいわれます。池の南には苔地が広がり、池からの鑓水が流れています。

拝観入口から「古典椿の道」が続きます。古典椿とは品種改良が盛んに行われた江戸時代頃から見られる品種だそうです。上は「蝦夷錦」、下は「鬼野老(おにどころ)」、『源氏物語』の「横笛の巻」に出てくるそうです。

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最初に訪れるのは「春の山」です。 春の山はお椀を伏せたような築山になっていて、散策路は一旦上に登った後、斜面に沿って緩やかに回りながら下っていきます。

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この庭には椿、しだれ梅、三つ葉ツツジと春の草木が次々と咲き、現在はしだれ梅が見頃となっています。まだ蕾も見られ、見頃はしばらく続きそうです。

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『源氏物語』の主人公・光源氏は、平安京の六条京極付近に四町を占める大邸宅「六条院」を造り、主だった夫人や子女を住まわせました。

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四町は四季を象徴してそれぞれに邸宅と庭があり、季節の移り変わりを愛でて様々な遊びを行いました。

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ここは、散策路の一番高い場所で、ちょっとした滝から水が流れてきます。

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春の山には約150本のしだれ梅があり、うすべに色の梅が基調となり、紅白の梅が彩を添えます。

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滝からの小川は散策路を横切り、下に流れていきます。

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白河上皇はこの「六条院」に触発され、近臣の藤原季綱が献上した鳥羽の別邸を拡張して、院政の拠点となる城南離宮(鳥羽離宮)の造営を開始しました。

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城南離宮の面影を再現した春の山は、城南宮の西側に広がる史蹟「鳥羽離宮跡公園」内にある「秋の山」と対をなしています。(紅色の枝垂れ梅は1,2本しかありませんでした。)

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散策路は春の山の出口付近で折り返して築山の裾を回り込みます。外側には竹林もあります。

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城南宮の神苑を作庭した中根金作(1917-1995)は、素早い配石で知られた天才造園家で昭和の小堀遠州と讃えられました。 (上から流れてきた小川のあたりで、築山の裾を回る散策路は引き返すようになっています。)

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春の山の出口付近でメジロが花をついばんでいました。素早い動きでなかなか写真が撮れず苦労しました。

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緑の苔に椿の花が散っている場所があり、大勢の人が写真を撮っています。

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城南宮では、神苑内の源氏物語に登場する草木や花に扇型の説明パネルを設置しています。右から、花の名前や種類、登場する巻名、登場する場面の一節や和歌、花の説明、花の咲く時期や学名が書いてあります。

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順路は本殿の裏を回ります。このあたりは「神紋に関わる椿の道」といい、城南宮の神紋「日、月、星」を名にもつ椿が植えられています。屋根の上に鳩が三羽。

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椿には1本づつ名札があって、咲いている花は撮影していきましたが、数が多いので最小限しか紹介できません。「窓の月」、白色、一重、椀咲き、中~大輪、12~3月

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苑路が本殿を回り込み次の庭に行く辺りに、新しく「咲き分けの椿の道」が造られていました。

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「太神楽(たいぐら)」 紅色地に白班入り、獅子・牡丹咲き、大輪、11~4月

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「平安の庭」 平安貴族の邸宅の寝殿造りの庭をモデルにしています。現在、梅が枝神楽を行っている神楽殿の裏を通ります。

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庭は神楽殿から、うっそうとした木々に囲まれた池に続きます。奥の中の島の段落ちの滝(階段状の滝)から清流が池に注ぎ込みます。

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臼田亞浪(うすだあろう、1879-1951)の句碑 「曙や 比枝のかすみの 街へのび」 亞浪は長野県小諸で生まれ、短歌を与謝野鉄幹に、俳句を高浜虚子に学び、俳誌『石楠』を創刊。比枝は比叡山のことだと思います。

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池の周囲にも多くの草木が植えられていますが、今の時期は梅と椿以外に咲いている花はありませんでした。城南宮では1年を三種類の期間に分けて公開しています。現在の「枝垂れ梅と椿まつり」がA期間です。

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与謝野晶子の歌碑「五月雨に 築土くづれし 鳥羽殿の いぬゐの池に おもだかさきぬ」 いぬゐ(戍亥)は北西、おもだかは夏の季語の植物で、球根(沢瀉、たくしゃ)は生薬になります。

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B期間は1月1日から2月17日、3月23日から6月30日、9月1日から12月31日、C期間は7月1日から8月31日(夏季期間)です。それぞれ、神苑拝観エリアと拝観料が異なります。 

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池の南には苔地が広がり、池からの鑓水が流れています。ここでは、昭和45年(1970)から平安貴族の優雅な行事である「曲水の宴」が再現されました。毎年4月29日に行われ、自由に観覧できます。

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以前は平安の庭から参道を横切って次の庭(南の神苑)に入れたのですが、A期間はこちらの北神苑だけの公開です。この後、鳥羽離宮に所縁の史跡や寺院を訪ねました。

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コメント

こんばんは。ゆーしょーです。
平安衣装を身にまとった曲水の宴を
一度見てみたいです。
一昨年の僕の年賀状は曲水の宴でした。
ポチ♪2

投稿: ゆーしょー | 2024年2月29日 (木) 00:17

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