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2024年2月22日 (木)

風俗博物館 源氏物語の世界

過去の全記事  2006年1月27日から毎日更新しています。

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※写真は全てクリックで拡大します。

西本願寺を訪れる前に、その北東の「井筒左女牛ビル」5階にある「風俗博物館」に行ってきました。風俗博物館は古代から近代にいたるまでの日本の風俗・衣裳を実物展示する博物館として昭和49年にオープンしました。

平成10年からは「源氏物語」の様々なシーンを題材に、 現在は「源氏物語からみる平安貴族の現世と来世への祈り」というテーマの展示を行っています。NHKの大河ドラマ『光る君へ』の影響か、あまり広くない館内は混雑していました。

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「船楽(ふながく)」天皇や上皇、あるいは大臣などの貴人を迎えての饗宴では、寝殿の前池に船を浮かべて、その上で雅楽や童舞(わらわまい)がよく行われたそうです。船は藤原頼長の『台記』にもあるように鵜船二艘を並べた双胴船です。

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下は今回の主要な展示「法華経千部供養」が行われる「宸殿」の配置図で、源氏物語に登場する光源氏の六条院四季の町のなかの春の御殿を表しています。

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「法華経千部供養」は平安時代の貴族の行事の「法華八講」の一場面で、法華八講とは法華経八巻を八座に分けて、一日に朝と夕の二度(朝座と夕座)講じ、4日間にわたって行われる法会のことです。手前は「伝供(でんぐ、手から手へ供物を渡す)の童」。

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法華八講の目的は、亡き人を供養する追善供養や、自分の死後の冥福のため生前に仏事を行う逆修(ぎゃくしゅ)、そして参会した人々が法華経に帰依し、仏法によって縁を結ぶことなどでした。

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法華八講は末法思想による人々の不安とも相まつて盛んに行われ、貴族の間で法会に参加し説経を聞<ことが流行して、結縁は心を楽しませ慰めるものでもありました。(建物や人形は1/4のスケールで、かなり大きく感じます。)

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展示されている「薪の行道(ぎょうどう)」は『源氏物語』「御法」の巻で描かれ、3日目の朝座に第五巻「提婆達多品(だいばだったぼん)」が講じられる場面です。

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提婆達多品には釈尊が前世で薪を拾い、水を汲んで仙人に仕えて妙法を得たという話が書かれているそうです。薪の行道に参会した親王たち。

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この段を唱する時は薪と水桶を背負った六位の蔵人と七僧が「法華経をわが得しことは薪こり菜摘み水<み仕へてぞ得し」(行基作)と歌いながら本尊(奥に見えます)の周りを右回りに歩き廻ります。

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本尊の普賢菩薩像は大倉集古館(大倉文化財団、国宝)の像を参考に製作したそうです。普賢菩薩とは、法華経を受持、読誦、書写した人を守護するため、東方の浄妙国土(清く優れている国)より六牙(ろくげ)の白象に乗つて現れた菩薩だそうです。

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薪や水桶持ちの六位の蔵人に加え、殿上人が高位の方々の捧物(ほうぶつ)を手に行遣します。こちらは三千年に一度咲き、如来が世に出現すると伝わる「優曇華(うどんげ)」や香壺の筥(はこ)に壺四つを持って歩いています。

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こちらの殿上人は受者の煩悩を除くとされる「団扇(だんせん)」を持っています。これらは、今上帝、春宮(明石の女御腹)、秋好中宮から仏前への捧げものです。

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親王たにちの向うに源氏物語で、紫の上が供養する法華経千部が書いてある巻物が見えます。

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宸殿の前では、舞楽「蘭陵王」が行われています。古代中国・北斉(550-577)の容姿端麗な蘭陵王・高長恭が、兵士たちの士気を上げるために、勇猛な面をつけて戦ったという逸話を題材にしています

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この法華経千部供養は光源氏の正妻格の「紫の上」が死を予感して行った逆修です。光源氏は実母によく似た父亭の妃・藤壺と道ならぬ恋愛をします。幼い紫の上に藤壺の面影を見て養育して、正妻「葵上」亡きあと14歳で正妻の待遇で迎えました。

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左は光源氏の息子の「夕霧」で、苦労をして左大臣まで上り詰めました。光源氏は40歳のとき政略結婚をして女三宮を正妻として迎え、長年連れ添ってきた紫の上は健気にも振舞いますが、心労がたたって病となり死が近いことを悟ります。

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光源氏は女三宮の不貞を知り、自分の人生の報いを思い知らされます。葵の上の死後、光源氏は追悼の日々を送り出家の準備を整えます「幻の巻」。次の「雲隠」は、巻名だけあって中身がない特異な巻で、光源氏の死を予感させます。

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源氏物語の1部は光源氏の華麗なる生活、2部は忍び寄る人生の報い、3部は光源氏なき後の人生模様を宗教色を交えて描いています。法華経千部供養は、物語の転換点となる重要な場面といえます。この後、他の平安時代の風俗の展示を見て回りました。

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コメント

源氏物語の時代、平安時代は平和だったのかもしれませんね。
次の元号は、もう一度平安を使って欲しいものです。
平和を願って。

投稿: munixyu | 2024年2月22日 (木) 20:10

こんばんは。ゆーしょーです。
このような風俗ものを見るのは大好きです。
3枚目、一瞬一寸法師かと思いました。
一寸法師はお椀の舟に箸の櫂でしたね。
この「一寸法師」の唱、りせさん知ってますか?

投稿: ゆーしょー | 2024年2月22日 (木) 23:14

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投稿: ゆーしょー | 2024年2月23日 (金) 00:09

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投稿: ゆーしょー | 2024年2月23日 (金) 00:30

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