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2023年11月30日 (木)

虚空蔵法輪寺 2023秋

過去の全記事  2006年1月27日から毎日更新しています。

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※写真は全てクリックで拡大します。

一昨日は嵐山・嵯峨野方面に行ってきました。阪急嵐山駅は観光客でいっぱいでしたが、多くは右の嵐山公園の方に向かい、左の山の方に行く人はあまりいませんでした。TOPの写真の正面は「京都 嵐山温泉 花伝抄」。

しばらく歩くと「嵯峨街道」に出会います。正式には京都府道29号宇多野嵐山山田線といい、宇多野から渡月橋を渡り山沿いに阪急嵐山線に沿って南下、松尾大社の前を通って桂で国道9号に合流します。

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「手打ち蕎麦 芳汕(ほうざん)」 2014年に開業、天丼やかやくご飯がついたランチもあります。隠れた名店だそうで、開店前に並んでいました。

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しばらく歩くと、左の山際に法輪寺の参道入口が見えてきます。ほとんどの参拝客は左の坂道を上っていき、これは山門の前の駐車場に至る車参道でもあります。

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坂道の下の左にある石段を上るのが正式な参道のようです。左に「獣魂碑」があります。大正11年(1922)京都獣肉商組合と屠畜場関係者らが「屠られた牛の為に獣碑を建設する」運動を開始、これに乳牛関連や牛馬車などの業界が賛同しました。

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法輪寺の本尊・虚空蔵菩薩が家畜愛護尊であることからこの地に獣魂碑が建造されることになり、同年5月4日に建碑式と、獣魂祭が取り行なわれたそうです。さらに石段を上った広場は駐車場でもあり、山門の横に「稲荷社」があります。

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「法輪寺」 奈良時代の和銅6年(713)行基が開創、当初は木上山葛井寺(かずのいでら)と呼ばれました。以後、歴代天皇の勅願所として国家安泰、五穀豊穣、産業興隆などの信仰を集めました。

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山門をくぐった右に電気・電波の先駆者、エジソンとヘルツの胸像(レリーフ)があり、それらはすぐ先にある摂社と関係があります。

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平安時代前期の天長6年(829)空海の弟子・道昌が寺を再興して、自刻の虚空蔵菩薩像を安置して、法輪寺と称しました。その像は今も本尊として本堂に祀られ、嵯峨虚空蔵ともよばれ日本三虚空菩薩像の一つです。

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石段の途中の左に「獣魂供養塔」があり、こちらは昭和24年に東京の畜産会社が建造したものです。その向うに「電電宮」があります。 かって雷の神・電電明神を祀る明星社が祀られていましたが禁門の変(1864)で焼失。

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昭和44年(1969)関西の電気電波関係者により再興、電電明神を電気電波の祖神として祀り電電宮と改称しました。現在では電気、電波事業者だけでなく、ITや電子機器、電気自動車などのメーカーからも信仰を集めているそうです。

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石段を上った正面に本堂があります。本堂を守るのは狛犬ではなく、左は梅の木の下に狛牛、右は彼岸桜の下に狛虎です。現在では梅も桜も既に葉が落ちています。

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本尊の虚空蔵菩薩(嵯峨虚空蔵)は、生きとし生けるもの、全ての物質の誕生、生存、変遷を、その慈悲によって守り司ると考えられてきました。

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虚空蔵菩薩は記憶を増し智慧を授けるとの信仰があり、数え年13の男女が、智福を授かり技芸が長じるようにと参詣する「十三まいり」が生まれました。「多宝塔」

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「針供養塔」 渡来人の秦氏がこの地に養蚕や機織、染織などの技術をもたらし、裁縫や服飾の技芸上達を祈願する「針供養」が行われました。平安時代から皇室で使われてきた針が奉納されているそうです。

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法輪寺を開創した行基や中興した道昌も秦氏で、この地域一帯を開墾し現在の嵐山の景観を創ったのも秦氏といわれています。多宝塔の左奥に「鐘楼」があります。

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参道や境内のあちこちに「うるしの日」ののぼりが立っていました。ここには日本精漆工業協同組合と全国漆業連合会が建立した「うるしの碑」が建っています。

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日本での漆の製造には伝承があります。平安時代前期、文徳天皇の第一皇子の惟喬(これたか)親王が法輪寺に参籠した時、本尊の虚空蔵菩薩より、うるしの製法と漆塗りの技法を伝授されたそうです。見晴らし台の入口

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惟喬親王の参籠満願の日が11月13日だとされ、漆業関係者はこの日を「うるしの日」と定めて漆業の発展を祈願しているそうです。この伝承は、惟喬親王が秦氏がもたらした技術を学んだことを象徴しているのではないかと思います。

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見晴らし台は近くの渡月橋から、遠くの市内南部まで一望できます。

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比叡山と双ヶ岡。

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衣笠山に仁和寺の五重塔が見え、あちらも紅葉が盛りのようです。

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帰りは参道の途中から近道(裏参道)を通ります。

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途中に猿がいました。嵐山モンキーパークから来たのかも知れません。特に人に関心があるわけではないようで、一生懸命に土をほって石をなめていました。

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この裏参道は紅葉と桜のトンネルで、行きか帰りに通ることをおススメします。

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紅葉が生い茂っている芝地は庭園のようですが、近づくことはできません。この庭園は見晴らし台の下にあたり、木の間からその手すりが見えます。

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「人形塚」 10月15日の人形の日に人形の老舗「京都島津」の主催で「人形感謝祭」が行われ、毎年3000体の人形が供養されてきたそうです(2019年で人形の受付は終了しました)。

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宮中の儀式、行事、祭礼などにおける衣裳、調度、用具、飲食などをしきたりに基づいて執り行うことを有職といい、京都島津はこの伝統を受け継いで雛人形や五月人形を作っているそうです。この後、渡月橋に向かいました。

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コメント

「手打ち蕎麦 芳汕」
蕎麦と言えば秋、冬のイメージが強いので、
季節柄というのもあるかもしれませんが、
開店前から人が並んでいるって、凄いことですよね。
どんな蕎麦が出てくるのか、気になります。

投稿: munixyu | 2023年11月30日 (木) 18:00

こんばんは。ゆーしょーです。
法輪寺の境内の楓モミジもきれいですね。
見晴らし台から眼下に渡月橋、遠くには
仁和寺の五重塔もよく見えますね。
嵐山のモンキーパークへ3回行きました。
登り道が結構しんどかったです。
ポチ♪2

投稿: ゆーしょー | 2023年12月 1日 (金) 02:35

★munixyuさん こんばんは♪
このお店があることは初めて気がつきました。わたしも気になっています。

投稿: りせ | 2023年12月 6日 (水) 00:31

★ゆーしょーさん こんばんは♪
見晴らし台があるとつい写真を撮ってしまいます。モンキーパークに3回も行かれたのは驚きました。

投稿: りせ | 2023年12月 6日 (水) 00:38

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