知恩院 京の冬の旅で特別公開
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昨日(1月20日)から、京の冬の旅で知恩院の大方丈・小方丈・方丈庭園が特別公開されています。以下は、2020年の特別公開の際の写真をもとに今年の公開に合わせて補足・修正しています。
今回の「第57回 京の冬の旅」では、大河ドラマにちなんで徳川家康や同時代を生きた戦国武将ゆかりの寺院がテーマの一つで、パンフレットやHPでは知恩院が最初に登場しています。参拝入口は阿弥陀堂の西にある「武者門入口」です。
下の見取り図で、武者門入口から「法然上人御堂」を通り、大方丈の前に京の冬の旅の拝観受付がありました。 内部の写真は、京の冬の旅のパンフレットや建物の外にある説明板からの転載です。
浄土宗総本山知恩院は承安5年(1175)法然上人が結んだ草庵に始まります。浄土教信者の徳川家康が知恩院を菩提所としたことから、約73,000坪の広大な敷地に現存する大伽藍の多くが江戸幕府の将軍家によって造営されました。(鴬張りの廊下)
現在の大方丈(重文)は、寛永18年(1641)、徳川三代将軍家光が建立。二条城と同様に書院造の形式を備え、将軍参内時の座所として用いられることを想定していました。正面30m、奥行き25mの重厚な建物には11の部屋があり、
狩野尚信、信政ら狩野派の筆による金碧障壁画で飾られ、中央の間には阿弥陀如来が祀られています。下は武者隠しのある「上段の間」と「中段の間」「下段の間」で、将軍が大名と謁見するために造られました。
あまりにも上手く描かれていたため、命を宿し襖絵から抜け飛び去ったという「菊の間」の「抜け雀」。よく見ると、中央右の襖に3羽、左の襖に4羽の鶯の跡が見えます。
大方丈「鶴の間」には金地に鶴を描いた狩野尚信筆「松鶴図」があります。
集会堂(重文)・御影堂(国宝)の修復工事に伴 い外されていたこれらの襖絵8面が、16年ぶりに大方丈に戻ってきました。
大方丈の北東の小方丈(重文)も同時期の建造で、将軍の宿舎として使われました。水墨画で飾られた「上段の間」「雪中山水の間」「蘭亭の間」などがあります。左の掛け軸は霊元天皇の宸筆で、三門の扁額になっています。
大方丈から庭に出ます。正面の「唐門」(重文)は御影堂に通ずる門で、江戸時代初期の1641年造営。鯉魚に乗る老人や巻物を持ち鶴に乗る老など桃山時代に流行した故事伝説を彫刻しています。
東に庭園への中門があり、向こうの左に大方丈があります。
方丈庭園は、江戸時代初期に小堀遠州と縁のある僧・玉淵によって造園されたといわれています。大方丈の南庭は中央に池がある池泉回遊式で、手前に白砂、苔地があり、
池には大小の石を配置し、石橋や灯籠があり、池の周囲に様々な植栽があります。
池の周囲の回遊路は立ち入りできませんが、その東の端の近くに「昭和天皇 御手植の松」があります。
「慈鎮石」 大方丈の南庭の東端にあり、天台宗の慈鎮和尚(慈円)が座禅した石と伝えられています。左の小さい方の石です。 慈円は、法然上人に帰依した摂政、関白、太政大臣と上り詰めた九条兼実の弟で、天台座主を四度もつとめた高僧です。
「愚管抄」を著したことでも知られています。75才で四国に流罪となり、79才に勅免され京都に帰った法然上人に、「ともかく、ここへ」と護摩堂(南禅院)を空けて迎え入れました。(大方丈の東側に来ました。)
ところで、上で述べたように、大方丈・小方丈は徳川将軍が上洛する祭の宿舎や諸大名と会合するために造られました。(大方丈の東は山の斜面が迫り、南庭とつながる池があり、南北に長い池泉回遊式庭園になっています。)
実際に徳川家光は十数回この大方丈・小方丈を利用したそうです。ところが、その後幕末の14代将軍・家茂(いえもち)までの200年間は将軍が訪れませんでした。(中央の石燈篭がアクセントになっています。)
それは、将軍が上洛して天皇と謁見する必要がなく、天皇の権威が顧みられなかった期間ともいえます。この庭の北に「三代将軍家光公 御手植の松」があります(だだし3代目)。
小方丈の東は「二十五菩薩の庭」と呼ばれ、知恩院所有の国宝「阿弥陀如来二十五菩薩来迎図」を基にしたものです。臨終のときに念仏を唱えれば、阿弥陀如来と二十五菩薩が浄土へ迎えてくれる様を表現しているそうです。
中央の石が阿弥陀如来、周囲の石が菩薩、植え込みが来迎雲を表しています。下は大きなパノラマ写真です。
小方丈の北東に「権現堂」があります。正式には「権現様影堂」といい、
浄土宗と知恩院を庇護して、その繁栄の礎を築いた徳川家康、秀忠、家光の三代の霊を祀っています。度重なる火災で焼失して、現在の建物は昭和49年の浄土開宗800年を記念して再建されたものです。
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