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2022年9月14日 (水)

無鄰菴と南禅寺界隈別荘群

過去の全記事  2006年1月27日から毎日更新しています。

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※写真は全てクリックで拡大します。

南禅寺の大寧軒を出て、無鄰菴に向かいました。無鄰菴には何度も訪れて記事にしていますが、9月に訪れたのはこの時だけです。今日は南禅寺界隈別荘群が生まれた背景と現状も簡単に紹介します。

インクラインにかかる橋を過ぎると、看板が見えます。無鄰菴の東の端はこんなに鋭角な土地になっています。

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無鄰菴は、明治・大正の元老山県有朋の別荘で明治29年(1896)に造営されました。下はパンフレットの図で、3方を道路で囲まれた東西に長い敷地は3135㎡(950坪)の面積があります。

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無鄰菴の名は、有朋が長州(山口県)に建てた草庵が隣家のない閑静な場所であったことから名付けられたといいます。入口は西の端で、瓢亭の近くにあります。

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庭園は有朋自身の設計・監督の下に、7代目・小川治兵衛(植治)が作庭しました。東山を借景としたゆるやかな傾斜地に、琵琶湖疏水の水を引き込んだ池泉回遊式庭園です。

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庭の奥ゆきを感じるのは、鋭角な三角形の土地だからでしょうか。散策路に沿って東に行きます。この日は庭師の方が作業をしていました。

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この地域はかって南禅寺の広大な境内で、明治初期の廃仏毀釈で寺領の上知を命ぜられ、境内の縮小や塔頭の統廃合を余儀なくされました。(上部の池が見えてきました。)

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一方、琵琶湖疏水の当初の目的は、水運や灌漑、工業用水などに加えて水車を利用した動力がありました。水車の動力によって疏水沿いを工業地帯にして京都の近代化を進めようというわけです。

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ところが、工事の段階で動力を(当時アメリカで開発された)水力発電に変更することになりました。この変更によって疏水分線の計画は大幅に縮小され、工場を疏水沿いの傾斜地に建てる必要もなくなりました。

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琵琶湖疏水の第一期工事が明治23年に竣工し、その翌年に水力発電所の運転が開始されました。

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庭園の最上部(東端)に、醍醐寺三宝院庭園の滝を模した三段の滝があり、琵琶疏水の水が勢いよく流れています。

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上知された寺の土地はやがて民間に払い下げられ、京都市や京都府はその地域を風致地区として別荘地とする方針にしました。そして、琵琶湖疏水の用途の一つに、庭園や噴水などへの導水が加わりました。

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無鄰菴はそのような別荘群の先駆けともいえるものです。(もういちど、散策路を戻ります。)

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その後、無鄰菴に続いてできた付近の別荘の庭園も、七代目植治がその多くを作庭し、いずれも琵琶湖疏水の水が導かれました。ただし、琵琶湖疏水には莫大な税金が使われたので、当時庭園への導水は「防火用水」という名目だったそうです。

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下は京阪電車の「おけいはんねっと」による南禅寺界隈別荘群の略図です。赤字は常時公開されており、「白河院」は私学共済の宿泊施設になっていて、庭園の見学だけも可能です。

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緑字の「南禅寺ぎんもんど(小林吟右衛門別荘跡」は2021年ホテル「ふふ 京都」になりました。また、2018年にZOZO前澤社長が「智水庵」を数十億円で購入したといわれています。(このあたりで、茶室への道が分かれます。)

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薮内流燕庵を模したといわれる茶室。

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母屋 明治29年(1896)に完成した一部2階建ての数寄屋造りです。

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洋館 明治31年(1898)に完成した煉瓦造りです。

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1階は、有朋や七代目植治、無鄰菴造営の資料が展示されています。

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2階には江戸時代初期の狩野派による金碧花鳥図障壁画で飾られた部屋があります。

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この部屋で明治36年(1903)元老・山県有朋、政友会総裁・伊藤博文、総理大臣・桂太郎、外務大臣・小村寿太郎によって、日露開戦直前のわが国外交方針を決める「無鄰菴会議」が開かれました。

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主屋に上がって庭を眺めました。こちらは南の方で右に洋館が見えています。

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有朋はこの別荘と庭園をこよなく愛し、多忙な公的生活の合間に夫人を伴ってしばしば訪れたそうです。

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無鄰菴は昭和16年(1941)に京都市に寄贈され、庭園は昭和26年(1951)に国の名勝に指定されました。

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この部屋からの眺めがいちばんよさそうです。

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コメント

京都は、同じ場所でも時期によって見えるものが違っていいですよね。
一年中飽きることがないところだと思います。

投稿: munixyu | 2022年9月14日 (水) 18:34

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