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2022年8月15日 (月)

百日紅が咲く風景 拾翠亭

目次  2006年1月27日から毎日更新しています。

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※写真は全てクリックで拡大します。

拾翠亭」は京都御苑の南西の九條池のほとりにある建物で、1年間の改修工事を終えて今年(2022年)4月1日から見学・貸し出しを再開しています。

拾翠亭は江戸時代後期に五摂家の一つであった九条家の別邸として建てられ、主として茶会や歌会などの社交の場として使用されました。数寄屋風の書院造で2層からなります。

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拾翠の名は、緑の草花を拾い集めるという意味があります。平安の昔に貴族がのどかな春の日に野辺に出て草花を摘んだ習わしにちなんでいるそうです。*九條池以外は、九条に統一しています。

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また、翠の字には緑の美しい鳥(カワセミ)という意味もあり、かってここの池に多くのカワセミが飛来したことから拾翠と名付けられたともいわれています。「玄関」を入ると、拝観受付があります。

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九条家の祖・藤原兼実(1149-1207)は藤原鎌足を遠祖とする藤原北家の関白・藤原忠通の六男として生まれました。(最初に入るのは7畳半の控えの間で、左に十畳の広間の茶室があります。)

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異母姉である皇嘉門院(藤原聖子、崇徳天皇の中宮)の猶子(養子)となり、1158年に元服、正五位下に叙せられ左近衛権中将に任ぜられました。(広間の外には広縁が張り出し、「縁高欄」と呼ばれる手すりが付けられています。)

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1160年には従三位となり、公卿に列しました。皇嘉門院の庇護を受けて学問の研鑽を積み、有職故実に通暁した公卿として昇進、1164年16歳で内大臣、1166年18歳で右大臣に昇りました。

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兼実は若年ながら公事・作法について高い見識を有し、左大臣の作法は違例が多いと厳しく批判しました。(北の方は縁高欄がなく、庭に降りれるようになっています。)

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しかし、兼実の官職はこの時から20年間右大臣に留まりました。これは、所労や病悩を理由に朝廷への出仕が滞りがちだったことが要因の一つとされます。(西の廊下に出て広間の北側の部屋に行きます。)

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こちらは三畳中板の小間で、庭からも出入りできます。二つの茶室を行き来する貴族の茶事の習わしを知るうえで貴重だそうです。

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その後、各地での源氏の台頭、清盛の死去や後白河法皇の院政再開など情勢は目まぐるしく変転しました。兼実は特定の勢力に属さず傍観者的態度を貫きました。(壁は「ほたる壁」とよばれ、白っぽい斑点が浮き出ています。)

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1181年皇嘉門院が崩御、唯一の後ろ盾を失いましたが、都の南東部の九条陶化坊一帯の領地を引き継ぎ、兼実の家名の由来となりました。 (2階に上がります。)

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1185年3月壇ノ浦で生き残った建礼門院の処遇について諮問を受けた兼実は「武士の争いごとで女房が罪に問われたことは聞いたことがなく、然るべき落ち着き場所を用意すべき」と返答しました。(2階は2間半四方の座敷で、三方に引き戸があります。)

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1185年10月権力を握った源頼朝は、後白河法皇に院近臣の解官、議奏公卿による朝政の運営、兼実への内覧宣下を柱とする改革要求を突きつけました。(老朽化のため外縁に出ることはできません。)

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兼実を推薦した理由は、故実に通じた教養人で、平氏に近かった公家政権を好まなかったからです。後白河法皇は抵抗しましたが、1186年3月兼実はようやく摂政と藤原氏長者を宣下されました。

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後に秀吉の都市政策によって九条家は御所の南に移されました。 かっての九条家は1万坪以上の敷地があり、最盛時には建物だけで3,800坪もあったそうです。(「高倉橋」は明治15年の建造です。)

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東京遷都にともなう東京移転命令によって、京都の邸宅はほとんど取り壊され、この40坪余りの拾翠亭と池の中の島にある鎮守社の厳島神社だけが残されました。(窓の格子に付けられた「丁子七宝」)

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現在の京都御苑は環境庁の国民公園となっていて、拾翠亭などの施設は一般財団法人国民公園協会が管理運営を行っています。(外に出て、北側の庭に行きます。)

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一般公開日は年末、年始を除く毎週木・金・土曜日、葵祭(5/15)、時代祭(10/22)ですが、当協会諸事情により見学できないことがあります。(左は広間で、右に小間の躙り口が見えます。)

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参観時間は9:30~15:30(見学受付は15:15まで)、参観料は300円(税込) ※中学生以下無料は(池のほとりに「四阿」があります。)

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一般公開日以外の日で茶会や句会などへの貸し出しを行っています。(池の方を眺めることができます。)

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写真撮影について 拾翠亭の端正な佇まいを楽しんでいただくため、以下は禁止となっています。花嫁衣裳での前撮りや舞妓姿等での撮影、写真撮影を業とする方の撮影、三脚や機材等の持込み・使用(「石垣張り」の障子)

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なお、記念のスナップ写真の撮影は、見学の方々の妨げにならないようご配慮下さい。(建物の南に回ります。)

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拾翠亭の貸し出しは、茶会、俳句・和歌・短歌の会、読書会、謡曲会(素謡)、歴史研究会、漢詩研究会(吟詠)などの行事に限定。音曲を伴うもの、宴会、政治研究会、商業的利用、宗教活動などへの使用はご遠慮下さい。

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使用月の3ヶ月前の1日より国民公園協会京都御苑事務所で受け付けています。詳しくは国民公園協会にお問い合わせください。(ここは、紅葉の頃もよさそうです。)

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拾翠亭の貸出は、かっての九条兼実を祖とする九条家の別邸・茶室に相応しいことが条件となっているようです。

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コメント

1年間の改修工事を終えただけあって、
全てに光沢のようなものがあり、雰囲気が明るいですね。
改修工事をすると、当時の建てたばかりの雰囲気が楽しめて、いいですよね。

投稿: munixyu | 2022年8月15日 (月) 17:50

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