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2022年8月 7日 (日)

夏の庭園 妙心寺・退蔵院

目次  2006年1月27日から毎日更新しています。

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※写真は全てクリックで拡大します。

一昨日の記事に続いて妙心寺塔頭退蔵院を訪れました。通年公開されている妙心寺3塔頭の最後です。以下は過去記事を再編集しています。

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「退蔵院」は、室町時代の応永11年(1404)に越前(福井県)の豪族・波多野重通が、妙心寺3世の無因(むいん)禅師を開山として創建したのが始まりです。(右に拝観受付があり、順路は正面の庫裏の左に回ります。)

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当初は、波多野家の下屋敷(千本松原)に建てられ、その後妙心寺境内へ移転。応仁の乱で焼失しましたが、1597年に亀年禅師によって再建され、現在に至ります。(庫裏の端に観世音菩薩が安置されています。)

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「大玄関」 突き当りの右にある玄関は江戸初期の富豪・比喜多宗味居士(ひきたそうみこじ)より寄進されたもので、法要儀式その他高貴な方々の出入り以外は使用されませんでした。 

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唐破風造りの破風の曲線が直線になっていて、ちょうど袴の腰のようになっていることから「袴腰(はかまごし)造り」と呼ばれ、昭和41年(1966)に国の重要文化財に指定されました。

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「方丈」(重文)は、慶長年間(1596-1615)の建築で、織田信長が足利義昭のために建立した将軍邸を移築したともいわれています。前庭(南庭)には蓮の鉢が並んでいましたが、咲いているものはありません。

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左は「瓢鮎図(ひょうねんず)」(国宝、複製)。瓢箪でなまずを押えるという禅の公案(こうあん)を、相国寺の僧・如拙(じょせつ)が足利将軍のために描いたものです。如拙は中国水墨画の新様式を学び、日本の水墨画の先駆者となりました。

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漢字の鮎は本来なまずの意味だそうです。滑りやすいなまずを、滑りやすい瓢箪で捕まえるという公案は、寺を訪れた宮本武蔵も興味をもったようで、刀の鍔に瓢鮎の意匠を施したそうです。原画は京都国立博物館に寄託。

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将軍足利義持は高僧名僧を集めて、この公案に対して禅問答を決行、各僧の回答が賛に書いてあります。男の様を笑う回答が多いなかで、なまずが横の竹に登って天に登るようだ、少なくとも瓢箪でそれを防ぐことができる、という回答もあります。こちらの「日本文化の入口マガジン」に回答の現代語訳があります。

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方丈の西にある「鞘の間」から「元信の庭」が見えます。室町時代の絵師・狩野元信(もとのぶ、1476-1559)の作庭とされ、国の史跡・名勝に指定されています。

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50坪ほどの広さの石組主体の枯山水庭園です。一見無造作に石や橋が配置されているように見えますが、全体としてみごとに絵画的な調和を保っている名園とされています。

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方丈から庭に下りて、南にある余香苑の中門(薬医門)に来ました(欄間にうなぎが彫られています)。正面に大きな紅枝垂桜があり、左右に枯山水の「陰陽の庭」があります。

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右の庭は、黒っぽい安曇川の砂を用いて「陰」を表現しています。

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左は、白川砂を用いて明るい「陽」を表現しています。

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「余香苑」は造園家の中根金作が昭和36年(1961)に作庭した池泉回遊式庭園です。散策路は枝垂桜で左右に別れ、左を行くと「羅漢石」があります。

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ここから西の視界が開けます。余香苑は東から西への傾斜地に作られ、途中の滝から水が西に流れていきます。西の端には茶室、藤棚、待合などがあります。

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二つの散策路が再び合流するあたりに六角形の東屋があります。

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さらに下ると江戸時代に造られた「水琴窟」があります。

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「休憩所」 左の売店では、なまずをモチーフにした様々なお土産や、桜や紅葉の「余香」という線香を販売しています。

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正面の建物「大休庵」はお茶席になっています。

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売店で受付をして、ここで抹茶と茶菓子をいただけます。ここから左(庭の西)にある藤棚の方に行きます。

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藤棚から東の風景は空が借景だといわれ、右の奥の滝から水が池に流れ込みます。左の斜面の上にも水源があり、左の池の底からも水が湧き出しています。

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近畿各地からの集められた石の配置は洗練されていて、様々な樹木や草花が四季折々に彩りを添え、「昭和の名園」ともいわれています。さつきや楓の青モミジ、秋の紅葉の頃の眺めも見事です。

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ところで「退蔵」とは価値あるものをしまっておくという意味で、寺名は人に知られないようにして良い行い(陰徳)を積み重ね、それを内に秘めながら布教していくという意思を示しているのだそうです。「待合」

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庫裏の玄関の横に清水英雄の詩集「ありがとう」の言葉を円の中に書いた暖簾がありました。

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