音羽の滝と清水寺の四季
←目次 2006年1月27日から毎日更新しています。
今日は名水めぐりの特別編として、清水寺の音羽の滝です。「茶の湯都七名水」に選ばれていて、おそらく京都では最も多くの方が訪れる名水です。
写真はしばらく今頃の季節で、コロナ以前のものがほとんどです。 こちらは西門と三重塔。とりあえず、本堂(舞台)を拝観してから音羽の滝に向かいます(右にある放生池の方からも行けます)。
音羽の滝に行くまでに清水寺の歴史を簡単に紹介します。『清水寺縁起』によると、奈良で修行を積んだ僧、賢心(けんしん)が夢で「南の地を去れ」とお告げを受けました。「三重塔」(重文)
賢心は霊夢に従って北へと歩き、やがて京都の音羽山で清らかな水が湧出する滝を見つけます。そして、この滝のほとりで草庵をむすび修行をする老仙人、行叡居士(ぎょうえいこじ)と出会います。「鐘楼」(重文)
行叡居士は賢心に観音を造立するにふさわしい霊木を授け「あなたが来るのを待ち続けていた。私は東国に修行に行く。どうかこの霊木で観音像を彫刻し、この霊地にお堂を建ててくれ」と言い残して姿を消したといいます。
賢心はすぐに「勝妙の霊地だ」と悟り、以後、音羽山の草庵と観音霊地を守りました。賢心が見つけた清泉は、その後「音羽の滝」と呼ばれ、現在も清らかな水が湧き続けています。西門から
それから2年が経ったある日、鹿狩りに音羽山を訪れた武人、坂上田村麻呂が音羽の滝で賢心と出会います。坂上田村麻呂は賢心に尋常ならぬ聖賢を感じ、大師と仰いで寺院建立の願いに協力を申し出ました。「経堂」
「田村堂」(重文) 堂内中央には、清水寺を建立した坂上田村麻呂夫妻像を祀り、併せて清水寺開基・行叡居士と開山・延鎮上人を祀ります。現在の建物は寛永10 年(1633 )再建、平成18 年(2006 )に修復。繧繝彩色という手法が施されています。
そして、妻の三善高子とともに十一面千手観世音菩薩を御本尊として寺院を建立し、音羽の瀧の清らかさにちなんで清水寺と名付けました。轟門」(重文)ここを通って本堂へ向かいます。
清水寺は創建以来、奈良仏教の法相宗を宗旨とし、中世・近世においては法相宗大本山、興福寺(奈良)の末寺でした。(舞台横の授与所の前から)
1965年。急速に変化する社会情勢に対応し、これからの時代に社会から必要とされる仏教を模索し続けた当時の清水寺貫主、大西良慶和上によって北法相宗が立宗されました(音羽の滝が見えます)。
大西良慶和上は、戦争の時代に生きた仏教者として平和を説き、社会的弱者に優しいまなざしを向け続け、109歳でこの世を去るまで人々に観音さまの教えを説き続け、清水寺の中興の祖となりました。(本堂横の石段を下ります)
「音羽の滝」は音羽山からの地下水が3本の筧(かけい)に伝わって、千年以上前から途切れることなく流れ続け、「金色水」「延命水」と呼ばれ、所願成就、清めの水、茶の湯などに使われてきました。
三本の滝はそれぞれ以下のご利益があるとされています。右の滝が延命長寿の水で、中央の滝が恋愛成就、家族円満など「愛」にご利益のある水、左が学問上達の水で修学旅行生に人気です。
一般には、どれかの滝の水を一口飲むのが作法で、2本、3本の滝の水を飲むとご利益が1/2、1/3になるともいわれています。滝の上の祠に開祖の「行叡居士」と「不動明王」が祀られており、飲む前に手を合わせます。
音羽の滝の前にある「滝の堂」、お札やお守り、おみくじとともに、滝の水「音羽霊水」もあります。また、自分で滝の水をペットボトルなどに入れて持ち帰ることもできます(混雑時は避ける方がよいと思います)。
お堂には御詠歌の額がかかっています「松風や音羽の滝の清水を結ぶ心はすずしかるらん」。以下は異なる季節の清水寺の風景です。
今日の記事では本堂を拝観してから音羽の滝に下りましたが、「放生池」の方からは拝観料なしで常時音羽の滝にお参りすることができます。
音羽の滝と放生池の間に「舌切茶屋」と「忠僕茶屋」があります。幕末の尊王攘夷僧をかばい清水寺を守った人々の子孫に、清水寺が恩に報いるために境内地使用の権利を認めたものです。「地主神社」
また「アテルイ・モレの碑」があります。征夷大将軍・坂上田村麻呂は、これ以上の犠牲を見るに忍びないとして降伏した蝦夷の二人の首長を都に連れて帰り助命を提案するも、貴族たちは野蛮人として反対、二人は処刑されてしまいました。
上の碑は30年以上にわたって二人の顕彰活動を続けてきた関西アテルイ・モレの会が建立したもので、そばには同会が地元の水沢市から表彰された記念の「みちのく桜」が植えられています。
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