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2022年6月26日 (日)

宇治七名水をめぐる

目次  2006年1月27日から毎日更新しています。

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※写真は全てクリックで拡大します。

宇治は古来からお茶の産地として知られ、その栽培には欠かせない水も各所から豊富に湧き出ていました。宇治神社から「さわらびの道」を少し東北(上)に行くと宇治上神社の鳥居があります。横に「世界文化遺産 宇治上神社」という大きな石標があります。

かってこのあたりには、応神天皇の皇子・菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)の邸宅があり、その没後、邸宅跡に兄・仁徳天皇が祠を建て霊を祀ったのが宇治神社と宇治上神社の始まりといわれています。下は表門。

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鎌倉初期、栄西が宋から持ち帰った茶の種子を明恵上人がもらい受け、高山寺のある栂尾の深瀬に播き育てました。「拝殿」(国宝) 鎌倉時代の建物ですが、平安時代の住宅様式が取り入れられ、もとは離宮の建物だったのではないかと考えられています。

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明恵上人は茶の普及のためにより適した場所が必要だと考え、宇治に移植したことが宇治茶の始まりです。(二つの神社は離宮社と呼ばれ、この地域の産土神として信仰され、対岸に平等院が建立されるとその鎮守社にもなりました。授与所・各種受付)

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室町時代、第3代将軍・足利義満は宇治茶の栽培を奨励して、特に優れているとして7つの茶園を御用茶園に指定しました。それらは後に「宇治七名園」と呼ばれ、

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「森、祝、宇文字、川下、奥ノ山、朝日に続く琵琶とこそ知れ」と和歌にも詠まれました。ただし現存するのは奥ノ山茶園だけです。(授与所の後ろに、樹齢300年以上のご神木の欅があり、宇治市名木百選の一つになっています。)

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拝殿の右に湧き水「桐原水(きりはらすい)」があります。室町時代に発展した宇治茶に伴って「宇治七名水」が定められ、当初の形で現存しています。

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社殿の背後の大吉山から流れ出る水が、この手水舎に湧き出ています。

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「本殿」の覆屋の中に祭神を祀る三つの社が納められ、右が莵道稚郎子、中央が応神天皇、左が仁徳天皇です。本殿、覆屋ともに平安時代後期の木材が使われており、日本最古の神社建築と判明、ともに国宝に指定されました。

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以下はその他の六名水を見ていきます。「阿弥陀水」 明治初期に失われたといわれ、平等院鳳凰堂の南翼廊の南側の反橋の近くに後世に造られた小さな井戸があります(はっきりしませんが)。

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石碑も立っていますが、こちらも参拝路からは分かりにくい場所にあります。

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もう一つの「法華水」も明治初期に失われました。鳳凰堂西側にある塔頭・浄土院の北側にあったと伝わっていますが石碑もありませんでした。(浄土院の本堂には本尊の阿弥陀如来を祀っています。)

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しかし、平成23年(2011)浄土院の檀家女性の寄付によりに境内の推定地に井戸が掘られて名水が再現されたそうです。ただし、参拝客は見ることができない場所です。

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縣神社の参道の途中に橋姫神社があります。宇治橋が架けられたとき、瀬織津姫という川の女神を橋の上に祭ったとされます。地元の昔話の「橋姫さん」では橋姫神社は縁切りの神様とされています。

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橋姫神社の左(北)隣に名水の「公文水(くもんすい)」の石碑が残っています。

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「百夜月井(ももよづきい)」  桃ノ井ともいい、宇治神社御旅所の西隣のガソリンスタンド横に「百夜水」の石碑があります。

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最後の泉殿の近く、小さな「アトリエ」の看板がある路地の奥に石碑があります。

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「泉殿(いずみどの)」  JR宇治駅の北にあるユニチカ宇治工場の南入口左に石碑があります。

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結局、宇治七名水のうち、唯一当初の形で現存する桐原水は貴重な遺産といえます。最後は再び宇治上神社に戻りました。

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