深泥池 2022年初夏
過去の全記事 2006年1月27日から毎日更新しています。
昨日の記事の最後の宝ヶ池通(上の写真)を渡ります。宝ヶ池通はここから狐坂(かってはヘアピンカーブ、現在は「妙」の字の下の高架橋)から宝ヶ池トンネルを通って岩倉に至ります。
ここから山際に沿う道を通って深泥池に向かいます。昨日の記事で通ってきた府道(上賀茂川端線)はいったん南を通る北山通に合流します。
「茶の木原公園」の横を通ります。公園の北西隅に「加茂之荘地区土地区画整理竣功記念碑」 があります。このあたりの街並みは昭和8年から同13年にかけて実施された加茂之荘地区土地区画整理事業により造成されました。
右の「松ヶ崎西山」側も宅地になっていて、いずれも高い石垣の上に建っています。
山を回i込んだところに池が見えてきました。
「深泥池(みぞろがいけ)」は周囲1.5km、面積9haの池で、西日本の平坦地では珍しい浮島があります。また、氷河期以来の動植物が今も生き続けるとともに多くの水生植物、昆虫、魚類、野鳥等がいます。
この池の水生植物群落は昭和2年(1927)に国の天然記念物に指定され、昭和53年(1988)には生物群集全体が指定の対象になりました。白いカキツバタが咲いていました。
池の向こうに浮島が見えます。浮島は「オオミズゴケ」が枯れて泥炭化したもので、間に水を挟みながら、20m程積み重なりって擂り鉢状の池底の岩にまで達しています。尾瀬ヶ原や釧路湿原などの低温湿地で見られる高層湿原となっています。
浮島周辺の湿原は、リス氷期に形成され、その後十数万年間続いてきたそうです。氷河期あるいは寒冷地に由来する生物、暖温帯や南方系など多様な生物が棲息しています。手前の小さな浮島にもカキツバタが咲いています。
以前は池の南東から左回りに畔を歩くことができましたが、鹿よけの柵がありました。もしかしたら、扉を開け閉めして通れるのかも知れません。(池の南東から見たパノラマ写真です。
東の畔にもカキツバタが咲いています。以前通ったときには、湿地に鹿の踏み跡が無数にあった場所で、鹿よけ対策のおかげで花が咲くようになったようです。
この池に14万年前の氷河期から生き続けているミツガシワという花も、鹿の食害で絶滅に近いほど数が減っているそうです。水面を覆うように生えているのは、一時絶滅が危惧されたジュンサイです(あるいは外来種の水草オオバナイトタヌキモ?)。
ジュンサイは水質が改善されて異常繁殖の状態で、逆に本来の生態系を損なうと心配されています。池の中には定間隔に浮きや網があり何らかの作業(調査)が行われているようです。向うの山は「ケシ山」(180m)。
大田神社のカキツバタも同様で、近年鹿の食害が目立つのは、生息数と山中の食物のバランスが壊れたことが原因とされます。(このあたりには黄色いカキツバタが咲いています。)
宅地造成など開発によって生息域が狭められ、餌を求めて山を下りてくると豊富な栄養価の高い餌にありつけるので、逆に生息数が増えてしまい悪循環になっているとされます。(水面に水鳥の通り道がついています。)
池の南西に深泥池の水生植物群落が天然記念物に指定された記念碑があり、その左は天然記念物の指定が、動物なども含む「生物群集」に拡大された記念碑です。
生物群集全体が天然記念物に指定されることは極めて珍しいそうです。動植物だけでなく、菌や微生物も生態系の重要な構成要素と考えらえています。下の水門はいつもは閉まっていて、池の水位を調整するためだけに開けられます。
平成2年(1990)この「東鞍馬街道」の先で、池の一部を埋立てて道路拡幅を行う計画が市議会で承認されました。住民や学者・研究者などが中心となって反対運動が起こり、埋め立て計画は廃止となり、
その後の池に橋梁を建てて道幅を拡張する計画も取り下げられました。結局、山側の側溝に蓋をして道路幅を若干広げて現在に至ります。もう一度池の南に戻って、対岸は東鞍馬街道。
先ほどの異常繁殖したジュンサイは、文化庁の許可を得て5月下旬から住民や研究者たちによって間引きをするようです。京料理の食材として利用することも検討しているそうです。
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コメント
鹿は、カキツバタは食べるのに、ジュンサイは
食べないのですね。池の中だから届かないのかもしれませんね。
ジュンサイが好きな、害の無い生き物がいればいいのに。
難しい問題ですね。
投稿: munixyu | 2022年5月16日 (月) 17:00
★munixyuさん こんばんは♪
ジュンサイは栄養価が低く、食物繊維以外はほとんど水分だそうです。ヘルシーな食材で、鹿はこれをいっぱい食べても栄養にならないことを知っているのでしょう。
投稿: りせ | 2022年5月19日 (木) 02:37