金剛寺とお寺カフェ
過去の全記事 2006年1月27日から毎日更新しています。
先日、三条通を歩いて蹴上まで来る途中で金剛寺に立ち寄りました。天台宗の八坂庚申堂の正式名称も金剛寺ですが、こちらは山号を一切経山という浄土宗の寺院です。
金剛寺の創建は古く、奈良時代の天平年間(729-749)に行基(ぎょうき)が東岩倉山の一切経谷に創建した阿弥陀堂が起源とされ、「上(かみ)の堂」とも呼ばれました。
東岩倉山とは蹴上の近くにある、東山三十六峰の一つ大日山のことです。伝えでは、行基は丈六(約4.8m、座れば約3m)の阿弥陀如来像を彫ったとされます。山門の内側の石標には「阿弥陀峯一切経谷 阿弥陀堂」とあります。
平安時代の応仁の乱(1467-1477)で東岩倉山一帯は戦場となり、当寺も戦火で荒廃しました。
焼けた御堂から首だけになった阿弥陀如来像を信者たちが見つけだし、それを粟田の地に遷し、最初は菰(こも、わら)を敷き、その上に阿弥陀如来の頭部像を祀りました。そして浄財を募り仮堂(粟田惣堂)を建てたといわれています。
現在でも蹴上には「小物座(こものざ)町」という地名が残っています(昨日の記事の最後、地下鉄蹴上駅のあたりです)。本堂には本尊の阿弥陀如来像を祀っています。
以降、地元の住民たちによって御堂は守られ信仰されてきましたが、江戸時代初めの慶長7年(1602)に岌然(きゅうねん)上人が、青蓮院門跡の許可を得て、 現在の地に堂を移し寺を再興しました。
正徳3年(1713)本尊を修復、享保15年(1730)本堂が建立されて現在に至ります。当寺は「洛陽四十八願所巡り」の第27番札所で、慶長年間の頃から、朱印に「行基菩薩御作(おんさく)出陣の弥陀安置」という印を捺しているそうです。「庫裏」
ところで、現在の金剛寺22世住職・中村徹信氏は、1959年に生まれ、旅行会社に30年余り勤務したあと、2005年浄土宗総本山知恩院にて修行を終え僧侶になり、翌年当寺の住職となりました。
当初は写経会など仏教色を全面に出した催しを企画しましたがあまり手ごたえを感じなかったそうです。その後、知人の紹介で喫茶店のマスターが協力してくれるようになり、(墓地には永代供養墓があります。)
「地域の人の憩いの場所をつくりたい」という思いから、毎月第3水曜日 7時~10時に「おてらカフェin金剛寺」を始めました。朝の静かなお寺でコーヒー片手に気軽な交流会です(参加費500円、下は供養仏。)
様々な世代の方が朝のひと時おしゃべりに集まり、法話や様々な講師を招いてワークショップ、参加者による楽器の演奏会などを開いてきました。「北向き地蔵」
やがて近隣住民の参加も増えてきた中、午前10時から高齢者が集まりやすいようにと工夫された「第2部」が設けられました。年齢制限はありませんが、高齢者向けの「地域の居場所」として寺を無料開放しています。
東山区には地域サークルなど高齢者がつながる機会があまりなく、お寺カフェのメンバーの宇野貴佳さんが中心となって働きかけたそうです。お寺カフェの夜には囲碁の会も行われています。 「観音堂」
2018年、本堂と観音堂が江戸期の建造物として貴重であることから京都府の「暫定登録文化財」に指定されました。扁額の書(南無観世音菩薩)は、日本黄檗宗開祖・隠元禅師の墨書、「鰐口」も江戸期のもの。
その後、奇数月の第2水曜日の午後(13:30~16:00) 孤立しがちな介護者がつらさや悩みを語り合う「介護者カフェ」が開催されるようになりました。介護や福祉に関心のある方なら自由(無料)に参加できます。
きっかけは、2019年の香念寺住職(東京)が自坊で運営している介護者カフェの講演でしたが、お寺カフェの経験があったので「これならできる」と確信、専門家や介護団体の支援もあり、その年に第1回目を開催しました。
浄土宗では、2020年度に社会貢献の一環として金剛寺をモデルケースに介護者カフェの支援事業を試行。現在までに全国16カ寺(さらに2カ寺予定)で開設され、今年度からは開設寺院を本格的に増やすそうです。
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コメント
お寺カフェですか。
これは、いいことですね。
カフェのようなお寺だと、入りやすい気がします。
お寺から珈琲の匂いがするって、斬新ですよね。
いろんなお寺で、これからも流行り続けると思います。
投稿: munixyu | 2022年5月 3日 (火) 15:43
★munixyuさん こんにちは♪
残念ながらこのカフェは月1回だけです。一方、最近寺院の境内で開業する(本当の)カフェも増え、それらも「お寺カフェ」と自称しています。境内の有効な活用法かも知れませんね。
投稿: りせ | 2022年5月 9日 (月) 18:38