毘沙門堂門跡と大しだれ
←目次 2006年1月27日から毎日更新しています。
1昨日の記事の醍醐寺を出て、同じ山科にある毘沙門堂門跡を訪れました。「毘沙門堂」は天台宗五箇室門跡のひとつで、高い寺格と鄙びた山寺の風情を伝える古刹です。
地下鉄か京阪の山科駅から山の方に向かって約15分程度歩くと、極楽橋のたもとに「毘沙門堂門跡」の寺号の碑があります。門跡は後西天皇行幸の際に賜った勅号です。
上の写真から左に歩くと、「仁王門」に上る急な石段があります。毘沙門堂の表門にあたり、その向うの山腹に堂宇があります。
仁王門には江戸時代前期の寛文5年(1665)に建立された阿吽の二天像が控え、お寺を護っています。
毘沙門堂は奈良時代の大宝3年(703)文武天皇の勅願で僧行基によって創建されました。当初は出雲路(上京区の御所の北方)にあったことから護法山出雲寺と称しました。
その後、たび重なる戦乱から苦難の道をたどりました。応仁元年(1467) 応仁の乱で焼失、文明元年(1469) 再建。仁王門の正面に唐門、その向うに本殿があります。
元亀2年(1571) 信長の比叡山焼打ちに呼応した戦火で堂宇は焼失しました。本殿の右手前に「経蔵」(下)があり、右には弁才天が祀られています。
「高台弁才天」 豊臣秀吉の大政所(母)が大阪城内で念じていた弁財天を、大阪城落城後に北政所が高台寺に遷しました。当門跡中興第3世一品公弁親王が、庶民の福楽のために所望して当地に勧請しました。
本尊の毘沙門天は、天台宗の宗祖・最澄の自作とされ、延暦寺根本中堂の本尊薬師如来の余材をもって刻まれました。商売繁盛・家内安全のご利益があります。本殿にお参りしたあと、建物内を拝観します。
本殿の背後の「霊殿」には阿弥陀如来を中央に歴代の影像や位牌が安置されています。外陣の間の天井には霊殿の守護龍が狩野永叔主信により描かれ、顔や眼の向きが見る角度によって変化します。絵葉書より
江戸時代初めの慶長16年(1611) 天海大僧正に毘沙門堂再興の勅命が降りました。 しかし、寛永20年(1643)天海は没してしまいます。「閼伽井」、法要のための水を汲みます。
寛文5年(1665)師の遺志を継いだ公海大僧正によって現在地(山科安朱)に本堂が落慶、毘沙門堂を再興しました。霊殿は元禄6年(1693)の建立です。
後西天皇の第6皇子一品公弁親王が入寺して以来、門跡寺院となりました。御所にあった後西天皇の旧殿を貞享3年(1686)に拝領、元禄6年(1693)に移築して当門跡の新書院「宸殿」となりました。 前庭に大きな枝垂れ桜があります。
宸殿内部の襖絵百十六画はすべて狩野探幽の養子・狩野洞雲益信(とううんますのぶ)作。「逆遠近法」で描かれ、どの角度から見ても観賞者が中心となります。特に左の絵の前を左右に移動すると机の向きが変わります。
上の写真の右は、廊下にある円山応挙の鯉の衝立で、こちらも鯉の体の向きが見る方向で変化します。
玄関から「勅使門」が見えます。宸殿とともに一品公弁親王が後西天皇より拝領して元禄6年(1693)に移築した檜皮葺きの総門。陛下の行幸、勅旨の代参、門跡門主晋山の大事以外は開門されないそうです。*桜の鑑賞のために開いていますが通れません。
宸殿の北の「晩翠園(ばんすいえん)」谷川の水を引き滝を造った江戸初期の回遊式庭園。正面に観音堂、「心字」の裏文字を形取った池に亀石、千鳥石、座禅石などが配置された名園です。
紅葉の頃の景観は素晴らしく、一度は訪れたい場所です。大きなパノラマです。
手前の手水鉢は、一品公弁親王が大変好まれた鞍馬自然石の銘器で、上野寛永寺へ下向の際には牛に引かせて所持されたことでも有名です。どこにも削った跡がないそうです。
もう一度本殿に戻り、庭に降りて宸殿の前庭に行きます。毘沙門天という神を祀るからか本殿の周囲は神社のようです。
ソメイヨシノの古木も咲いていました。こちらは5~6分咲き程度でしょうか。
作者不詳「宸殿乃 左近の梅として 愛でる」
境内の諸堂は近世の門跡寺院特有の景観を伝える貴重な遺構であり、その多くが京都市の有形文化財に指定されています。本殿と霊殿
宸殿は襖が閉まっていますが、自分で開けて室内に入ります。
宸殿前の大しだれは樹齢百数十年の巨木で、枝張りは30メートルに及びます。例年4月初めから中旬にかけて満開となるそうですが、今年は訪れた3月26日に満開に近い状態でした。
先ほど通った玄関、「護法山」の扁額と「夢」の衝立が見えます。
この後、塔頭の山科聖天に立ち寄り、帰り道に山科疏水の桜と菜の花を見てきました。
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コメント
ここの桜は、きめ細かいですね。
寺の桜らしく、繊細な感じがします。
場所によって全く雰囲気が違うのが、
桜の不思議なところですね。
投稿: munixyu | 2021年3月31日 (水) 15:29
★munixyuさん こんばんは♪
枝垂れ桜もいろいろ種類があるのでしょうね。これから注意して見ようと思います。
投稿: りせ | 2021年4月 6日 (火) 00:19