深泥池 2019初夏
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昨日の記事の岩倉・妙満寺を訪れるとき、大田神社から深泥池の北西を通る市道を通りました。
「深泥池(みぞろがいけ)」は周囲1.5km、面積9haの池で、西日本の平坦地では珍しい浮島があります。また,氷河期以来の動植物が今も生き続けるとともに多くの水生植物,昆虫,魚類,野鳥等がいます。
この池の水生植物群落は昭和2年(1927)に国の天然記念物に指定され、昭和53年(1988)には生物群集全体が指定の対象になりました。池のほとりのグループは見学会か写真の撮影会だと思われます。
ところが、平成2年(1990)池の一部を埋立てて道路拡幅を行う計画が市議会で承認されました。住民や学者・研究者などが中心となって反対運動が起こり、埋め立て計画は廃止となり、その後の池に橋梁を建てて道幅を拡張する計画も取り下げられました。
結局、3年前に山側の側溝に蓋をして道路幅を若干広げて現在に至ります。もうすぐ峠です。
この道は「東鞍馬街道」とよばれ、出町柳から下鴨中通、深泥池の西北からこの「檜峠」を越え、貴船神社や鞍馬寺に参詣する道だったそうです。
ここに祀られている「那智観音」の由緒は分かりませんが、峠を越える人々がお参りしたと思われます。
ここからは妙満寺からの帰り道になります。池の南西に深泥池の水生植物群落が天然記念物に指定された記念碑があり、その左は天然記念物の指定が、動物なども含む「生物群集」に拡大された記念碑です。
生物群集全体が天然記念物に指定されることは極めて珍しいそうです。動植物だけでなく、菌や微生物も生態系の重要な構成要素と考えらえています。下の水門はいつもは閉まっていて、池の水位を調整するために開けられます。
池の南に来ました。こちらは池の西にあたり、池の中に定間隔に浮きや網があり何らかの作業が行われているようです。向うの山は「ケシ山」(180m)です。
向うに東鞍馬街道が見えます。
池のほとりに白いカキツバタが咲いていました。
池の向こう正面から右にかけて浮島があります。浮島は「オオミズゴケ」が枯れて泥炭化したもので、間に水を挟みながら、20m程積み重なりって擂り鉢状の池底の岩にまで達しているそうです。
浮島周辺の湿原は、リス氷期に形成され、その後十数万年間続いてきたそうです。氷河期あるいは寒冷地に由来する生物、暖温帯や南方系など多様な生物が棲息しています。手前の小さな浮島にもカキツバタが咲いています。
池の東に天然記念物の標識があります。左は注意事項で、一切の動植物の採取や持ち込みの禁止、釣りはたとえリリースしても、魚を傷つけ餌が池に持ち込まれるので禁止されています。
浮島周辺には、カナヘビ、アカガエル、シマヘビ、マガモ、カイツブリ、トンボ等の動物が生息しているそうです。下の写真は池の東部で、向うの山は「高山」(176m)です。檜峠はケシ山と高山の鞍部にあります。
春にはミツガシワ、初夏にはカキツバタ、秋のサワギキョウなどの花が咲き乱れます。池の東の畔には白いカキツバタの群生があるようです。水面の標高は75mですが、湿原としては尾瀬ヶ原の数倍も古くから続いています。
池の南東は「松ヶ崎西山」(133m) で、南斜面に妙の字があります。深泥池は3方を山で囲まれ、水源はこれらからの雨水だけです。建物は築33年の賃貸マンション「メゾン・ジョア」です。
10枚の写真をつなげてパノラマ写真を作りました。よかったらクリックをして雰囲気を味わってください。深泥池の周辺の山は京都市が管理していて、水質の富栄養価が阻止されています。
最後に別の季節の深泥池を、秋。
冬、水鳥が泳いだ跡があります。
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コメント
いつも素敵な写真をありがとうございます。
深泥池の今、とほかの季節の写真も取り合わせて載せてくださる…リセさんの優しいお心遣いに感謝します。
大田神社の杜若も回復しつつあり先日も往時の70%くらいまではきたかしら、と思って拝見しましたが、鹿のほかにもいろんな原因が推察されるようで(とこちらの記事で教えて頂きました)保護の難しさはこれからますます大変になるようです。
投稿: もっちゃん | 2019年5月12日 (日) 07:20
★もっちゃんさん こんばんは♪
お久しぶりです。コメントありがとうございます。鹿は裏山の松ヶ崎山に棲んでいるようで、餌がなければ麓に出て来てしまいますよね。鹿とも共存してカキツバタの群生に適した環境を取り戻さないといけないと思います。
投稿: りせ | 2019年5月13日 (月) 01:17