真如堂 桜めぐり2017
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一昨日の記事の宗忠神社を後に、真如堂を訪れました。この日は、桜を探して境内を散策しました。「真如堂」は正式名称を鈴声山真正極楽寺という天台宗の寺院です。
比叡の戒算(かいさん)上人が平安時代中頃の永観2年(984)一条天皇の母、東三条院藤原詮子の願いによって神楽岡東の離宮内に堂を建て、慈覚大師の作と伝える阿弥陀如来の像を安置したのが始まりです。(赤門)
当初の建立地は現寺地の東北に当たり、「元真如堂」といいます。のち何度か寺地を変え、文明17年(1485)足利義政が旧地に再興しました。その後また他に移転し、元禄6年(1693)旧地の西南の現在地に戻りました。(赤門を入って右に塔頭が並んでいます。)
上は「覚円院」 芭蕉の門人・向井去来は嵯峨に落柿舎を営み、しばしば芭蕉が訪れ「嵯峨日記」を執筆したことでも知られます。この覚円院が去来の菩提寺で、境内に墓があります。
赤門から左にも塔頭が並んでいます。正面は「地蔵庵」で、「天台宗京都教区宗務所」が置かれています。
赤門から本堂に至る参道の北の道沿いにも塔頭が並んでいます。「理性院」
本堂の前の参道に戻りました。本堂は1705年に再建され、後に本堂の名称の真如堂が寺の別称になりました。
「三重塔」は、江戸時代の宝暦年間(1751-1764)に建立され、1817年に再建されました(京都府指定文化財)。
本堂の右手前(南)にある「鐘楼」は1759年に造営、梵鐘は、叩き方や天候で音色が変わる名鐘とされます。戦争中に供出されましたが、潰される前に終戦となり戦後奇跡的に寺に返還されたものです。材質を調べるために開けられた二つの小さな穴があります。
「たてかわ桜」 縦皮の名のとおり幹に縦に筋が入っています。徳川家光の乳母・春日の局が、父の斉藤内蔵介利三の菩提を弔うために植えたといいます。水上勉の小説『桜守』の題材になっていますが、実際は当寺の貫主が接木に成功したそうです。
境内の北東にある寺務所、後ろに大文字が見えます。
「元三大師堂」 平安時代の天台座主・元三大師(慈恵大師良源)の肖像画を祀ります(京都府指定文化財)。大師は魔除けの符として貼られる角大師(つのだいし)やおみくじ「観音籤」の発案者でも知られています。京洛十八大師めぐりの三番札所です。
「新長谷寺」 平安時代、中納言・藤原山蔭が亀が二度も子の命を救ったのは観音のご加護であるとして、神楽岡に新長谷寺を建立し、長谷寺十一面観音像を写した像を祀りました。吉田神社の神宮寺となりましたが、明治の廃仏毀釈によって真如堂に遷されました。
三重塔の南西に大きな枝垂桜があります。
真如堂の境内には、ソメイヨシノ、枝垂桜、八重桜などが約70本あるそうです。
赤門の外(左手前)にある「法伝寺」 かっての神仏習合時代には真如堂の稲荷堂でしたが、現在は塔頭寺院となっています。右に「?枳尼天(だきにてん)」の石標があります。
?枳尼天は、もとはインドの魔女でダーキニーと呼ばれていました。中国に伝わり密教では胎蔵界曼陀羅外院にあって、大黒天に所属する夜叉神とされました。自在の通力をもって6か月前に人の死を知り、その心臓を食うといわれています。
参道の正面に舞殿のような奉納舞台を改造した休憩所があります。その内部には三十六歌仙の額が掲げられています。向こうに糸桜が咲いていました。
日本では、古来から狐が?枳尼天のような霊力を持つと考えられていました。そして、真言密教とともに?枳尼天が日本に伝わると、やがて狐の精とされて稲荷(いなり)信仰と結びつきました。荼枳尼天あるいは茶枳尼天とも漢字表記されます。
正面のお堂に、空海が刻んだという白狐に天女が乗った?枳尼天像が祀られています。戦国時代には?枳尼天は武運の神とされましたが、やがて病気平癒、開運出世の神として庶民にも信仰されるようになりました。
明治政府の神仏分離政策を受けて、(仏教の神である)?枳尼天を祀っていた伏見稲荷本願所(愛染寺)は廃寺となり、全国の稲荷社の多くは(神道の神である)宇迦之御魂神などを祭神とする稲荷神社に改められました。
しかしながら、京都では真如堂以外に、鞍馬寺、建仁寺、相国寺(塔頭の金閣寺も)、知恩院などに?枳尼天を祀る塔頭が残っています。
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コメント
桜の色がどんどん薄くなってきましたよね。
少しの違いですが大きな違い。
春の終わりの寂しさを感じます。
投稿: munixyu | 2017年4月26日 (水) 09:12