紅葉2016 南禅院と水路閣
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南禅寺の三門に上り、方丈・庫裏の前を通り、南の参道を下ると「水路閣」があります。琵琶湖疏水分線は、蹴上から南に流れて南禅寺境内に入りアーチ状の水路で谷を横切ります。、
下の石段の上に南禅院があります。(水路閣は1888年に完成しましたが、計画当初から近代的な洋風建築は景観を損なうとして反対運動が起きました。現在ではレトロな建造物として、南禅寺の見どころの一つになっています。)
南禅院は「南禅寺発祥の地」とよばれ、塔頭ではなく南禅寺の一部(別院)です。
鎌倉時代の文永元年(1264)、亀山天皇はこの地に離宮・禅林寺殿を造営しました。10歳で即位して15歳となったときです。(石段の上に勅使門があります。)
その後、禅林寺殿の一部が焼失し、その跡地に上の御所(松下殿)を建て、住居としました。焼失を免れた部分は下の御所と呼ばれるようになります。拝観受付はこの左にあり、直接庭に入るようになっています。下は東の石段。
亀山天皇は1274年に25歳で子の後宇多天皇に譲位して院政をしきました。この頃、東アジアの情勢は緊迫しており、2度の蒙古来襲という国難に遭遇しました。
父の後嵯峨天皇が帰依していた圓爾辧圓(えんにべんねん)禅師(無関禅師の師)に教えを受け、それが精神的な支えとなっていました。(先ほど見た勅使門)
やがて国難が去った正応2年(1289)に亀山天皇は離宮で出家して法皇となりました。そのとき住まいとしていた持仏堂が南禅院です。ところが、まもなく離宮で奇怪な事件が起きました。(左は方丈で、右はその西庭。)
「文応皇帝外紀」によると、離宮で妖怪が現れたといいます。最勝光院に住んでいた道智上人の霊(物の怪)が夜な夜な出没したのです。
庭園は当時のおもかげを残し、鎌倉時代末の代表的池泉回遊式で、周囲を深い樹林で包まれています。作庭は亀山法皇ともいわれ、早くから、京都の三名勝史跡庭園の一つに指定されています。
上皇は、各宗派に妖怪の退治を命じ、西大寺の叡尊が呼ばれましたが祈祷の効果はありませんでした。
続いて東福寺の無関普門が呼ばれ、20人の比丘とともに離宮で座禅を続けたところ、異変はなくなりました。(茶室「龍淵窟」 昭和の数寄屋大工・岡田永斎作の書院風茶席で、庫裏、方丈と廊下でつながっています。)
上皇は感心して普門を師と仰いで帰依し、離宮を寄進して開山として迎え、南禅寺(禅林禅寺)を開きました。(亀山天皇分骨所 ここは遺言により分骨埋葬された御陵で、宮内庁の管轄地です。)
中国の元は2度の元寇の失敗の後、一山一寧を入貢督促(貢物の催促)の国使として日本に派遣しましたが、鎌倉幕府執権・北条貞時は、一山らを伊豆の修禅寺に幽閉しまじた。
その後一山の禅僧としての名声を知り、貞時は幽閉を解いて一山に深く帰依しました。そして、鎌倉の建長寺や円覚寺の住持に任じました。
一山は正和2年(1313)に後宇多法皇に招かれて上洛し、南禅寺3世住持に任命されました。一山は、朱子学を日本に伝え、書や文学にも優れ、五山文学の祖といわれています。(「龍門瀑」 水は琵琶湖疏水ですが石組は鎌倉時代の形式とか。)
離宮が南禅寺となってからも、南禅院は引き継がれてきました。山際の道を回ります。
滝の水は下池に流れ込み、ここには小島を「心」の字に配した心字島が造られています。池ではなく島で字を造るのは珍しいそうです。
池を一周しました。
方丈は元禄16年(1703)徳川綱吉の母、桂昌院の寄進によって再建され、内陣には亀山法皇御木造(重文)が安置され、襖絵は狩野養朴とその子如川隋川の筆になる水墨画です。
南禅院を出て西に行くと山の方に道があります。また、疏水沿いに蹴上まで散策路が造られていますが、こちらは現在工事中で通行できません(来年10月までの予定)。
南禅院の鐘楼があります。意外に大きくて木が邪魔でうまく写真に撮れません。この横に道があり、後嵯峨天皇皇后・?子(きっし)の粟田山陵があります。
?子は亀山法皇の生母で、南禅院の池の周りの道の途中から陵墓まで石段が続いています。法皇の住居からすぐにお参りができるようになっていて、その庭園の借景の山にもなっています。琵琶湖疏水分線は当初このあたりからトンネルを掘る計画でした。
ところが、工事着工直前に、亀山天皇の分骨場の下にトンネルを掘ることに宮内庁からストップがかかりました。そのため、急遽橋を渡して疏水を通すことになったのです。
この景観も、亀山天皇が南禅院を建て住居としたことがきっかけともいえます。
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コメント
ついに銀杏も黄葉し落ちてきたですね。
今週で一気に秋から冬への大変化となりそう。
来週末はもう冬だろうね。
投稿: munixyu | 2016年11月19日 (土) 10:03