積善院 人食い地蔵と恋情塚

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聖護院の東隣りに積善院があります。この前の通りは春日北通といって東大路から金戒光明寺まで続いています。

「積善院」は五大力さんとも呼ばれ、本山修験宗の総本山・聖護院の塔頭寺院です。

鎌倉時代1200年頃の創建とされ、 熊野神社の北西にあって聖護院門跡の別院として本山を補佐して、諸法務をおこなったとされます。

江戸時代に創建され、熊野神社の南東にあった「準提堂」と明治初年に合併して、大正3年 にその建物を積善院境内に移転しました。そのため、積善院凖提堂とも呼ばれます。（本堂）

本堂はかっての準提堂で、その本尊と積善院の本尊だった不動明王像をあわせて祀っています。準提観音像は光格天皇の勅願といわれています。

本堂の西側に行者堂（元の積善院本堂）があり、役(えん)の行者像と阿弥陀如来像などを祀っています。

役の行者は奈良時代の山岳修行者で、修験道の祖とされます。役の優婆塞(うばそく)、役の小角(しょうかく・おづの)、神変大菩薩(しんぺんだいぼさつ)などとも呼ばれています。

灯籠の中に狛犬が・・・

本堂と行者堂の間を奥まで行きます。

ここにはお地蔵さんや供養塔などがあります。中央の祠には、かって聖護院の森の西北にあった「崇徳院地蔵」を祀っています。聖護院の森とはかって東山丸太町一帯にあった広大な森です。

平安末期の保元元年（1156）に「保元の乱」が起き、敗れた崇徳上皇は讃岐に流され憤死しました。

その後京の都では大火、疫病、大地震などの災厄が続き、世間では崇徳上皇の怨霊の祟りだとされました。その怨霊を慰めるために町の人々が聖護院の森に建立し たのが崇徳院地蔵だといわれています。

上皇の無念の死を想い、誰言うとなく「すとくいん 」が「ひとくい」となまり、「人食い地蔵」の名で呼ばれるようになりました。長い間聖護院の森で野ざらしだったものを明治になってここに遷されました。

「お俊伝兵衛恋情塚」　江戸時代(1738年)釜座三条の呉服商・井筒屋伝兵衛(23歳)と、先斗町近江屋金七の抱え遊女・お俊(20歳)が、添えないために聖護院の森で心中したといいます。

この事件は、近松門左衛門の人形浄瑠璃「近頃河原達引」の題材となり、1952年に義太夫の豊竹山城少椽らよって碑が立てられました。「やつす姿の女夫連れ名を絵草紙に聖護院森をあてどにたどり行く」

石仏たち、これらも聖護院の森など近所から集められたものでしょうか？

ところで、積善院が「五大力さん」とよばれ、山門の外や境内のいたるところに「五大力尊」ののぼりが掲げられています。では、五大力とは何のことなのでしょうか？

それらは、不動明王を筆頭に、降三世(ごうざんぜ)明王、軍荼利(ぐんだり)明王、大威徳(だいいとく)明王、金剛夜叉（こんごうやしゃ）明王を指し、密教や修験道の最高神とされています。

それら五つの明王は、大日如来など五つの如来が憤怒した化身だといわれています。明王は、通常の教え方では救い難い衆生に対して、憤怒した形相と姿をもって煩悩を断ち、教え導くのだそうです。

また、京都の古い家ではいろんな災厄を逃れるため、「蘇民将来之子孫也」、「五大力」、「火廼要慎」、「赤山大明神御札」などのお札を貼りますが、「五大力」は積善院や醍醐寺の五大堂などで授かります。

2月23日には「五大力尊法要」が行われ、山伏らが般若心経を読経し護摩木を焚き上げて諸願成就を願います。また、本堂で秘仏の五大力尊の掛け軸が公開されます。

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