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2015年5月23日 (土)

華厳寺 なぜ鈴虫寺になったのか?

目次  2006年1月27日から毎日更新しています。

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※写真は全てクリックで拡大します。

先日松尾大社から南に歩いて、月読神社から最福寺跡を過ぎるとすぐに「鈴虫寺」の山門への石段があります。鈴虫寺は、正式には「妙徳山 華厳寺」といい、大日如来を本尊とする臨済宗の禅寺です。

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山門脇にある「幸福地蔵」 救いの手を差し伸べに歩いて来るために、日本で唯一わらじを履いているそうです。一つだけお願いすれば叶えてくれるので、大人気とか。

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江戸時代(1723)に鳳潭(ほうたん)が、すたれていた華厳宗を復興するために、最福寺の跡地の一部に大華厳を創建したのが始まりとされます。出土した鎌倉時代の瓦は最福寺の遺構とされ、この寺の唯一ともいえる文化財となっています。

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鳳潭上人は、仏教や哲学を幅広く学び、他宗であっても著名な僧を呼び集めて熱く議論を交わした学僧として知られています。本殿

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そして、上人は難解なため半ばすたれかけていた華厳宗を分かりやすく説くことで再び盛り上げ、この布教によって「華厳の鳳潭」と呼ばれるようになりました。書院

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また、当時ヨーロッパから渡来した西洋中心の地図を見た上人は、日本で初めてインド(仏教圏)を中心にした地図を作成し、現代の地理学においても貴重な資料とされています。

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ここのお守りが、入学・開運・良縁祈願に人気があるのは、鳳潭上人という優れた学僧によって開かれた縁であるとか。庭を一回りします。中心にあるあずま屋

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慶応4年(1868)になると、慶厳が入寺して寺を中興し臨済宗に改めました。坂になっている庭の上に来ました。

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石に「開山墓道」と書かれていて、向こうに開祖の鳳潭上人をはじめ歴代の住職のお墓や観音様の像があります。

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では、どうして華厳寺が鈴虫寺とよばれるようになったのでしょうか? ここから市内南部が一望できます。

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先代の住職は座禅を組みながら、その短い命の中で欲もなくひたすらに鳴き続ける鈴虫の音色を聞いて、「無心にひたむきに生きよ」という教えを感じたそうです。京都タワーと修復工事中の東本願寺阿弥陀堂(左の素屋根)

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そして、そのように教えてくれた鈴虫の音色を人々に聞かせたい、と考え28年間にわたった研究の末、季節を問わず常に3千匹以上の鈴虫を生育することに成功しました。「伏見桃山城」がはっきり見えました。

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温度と湿度を管理して鈴虫たちの卵が孵化する時期をずらして、1年中鈴虫の音色が聞けるようにしているそうです。「鈴虫・万虫供養塔」

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鈴虫たちの音色が聞こえる書院の中で、「鈴虫説法」と呼ばれる説法が行われます。
お茶とお菓子『寿々むし』をいただきながら、お寺のお参りの仕方、日々の心の持ち方などについて、和やかな雰囲気の中でのお話です。

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庭園には、様々な植物が季節の花を咲かせます。

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ちょっとした竹林もあり、黒竹・四方竹・布袋竹・金明竹・業平竹・矢竹など不思議な形をした珍しい種類のものもあります。

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三角竹

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書院ではまだ説法が続いています。休日などは、若い女性を中心に山門から列を作って待つほどの大人気です。

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ウィキペディアによると、鈴虫寺は「京都市内の寺院の中でも特に積極的な拝観者招致策を展開し、成功した例としても知られる」とあります。

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「鈴虫説法」は、話が面白くて聞いた後は心が和やかになるという評判です。ある意味、布教の本来の姿なのかも知れません。

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コメント

季節を問わず常に3千匹以上の鈴虫を生育、
って、凄い技術ですよね。
初夏や真夏に聞く、緑の中の鈴虫も
涼しくていいだろうね。

投稿: munixyu | 2015年5月23日 (土) 12:32

★munixyuさん こんばんは♪
鈴虫はスゴイですが・・・団体バスが何台も押し寄せて、ぞろぞろ参道を登って・・・というのが異様な光景で・・・(以下略)

投稿: りせ | 2015年5月24日 (日) 01:33

そうそうテレビでご住職がいっぱいの鈴虫を光を当てたり温度管理をしたり、結構忙しいみたいなことをおっしゃってるのを見ました~
京都タワーが案外近くに見えますね~。もっと遠いイメージがあったのと、女性が行列と聞いて、ちょっと怖気づいて足が向きませんw

投稿: ばるさろ | 2015年5月24日 (日) 08:25

★ばるさろさん こんばんは♪
昔々・・・ずっと昔にここに来た記憶では素朴なお寺だったのですが、今や凄いです。次から次と々とバスが到着して若い方が続々w(゚o゚)w
皆さん「鈴虫説法」と「幸福地蔵でお祈り」だけが目的のツアーのようで、説法が終われば幸福地蔵にお祈りされてサッサとバスに乗り込まれます。ほとんどの方が庭園は見ずに帰られます。

投稿: りせ | 2015年5月24日 (日) 23:22

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