大原・来迎院 2025秋
過去の全記事 2006年1月27日から毎日更新しています。
先日の記事で呂川を遡って来迎院の山門前まで来ました。「来迎院」は、山号を魚山という天台宗総本山・延暦寺の別院です。
平安時代の仁寿年間(851~854)に、天台宗を開宗した伝教大師最澄の直弟子・慈覚大師円仁が、この地に声明(しょうみょう)の修練道場を創建しました。
円仁は唐に留学したとき、五台山の太原(たいげん)を中心に盛んに行われていた五台山念佛(声明)を比叡山に伝え、中国の太原にちなんでこの大原の地を声明の根本道場としました。(山門を入った正面は「会館」で参拝受付があります。)
藤原時代(平安時代中・後期)、大原は俗化した比叡山を離れた僧が修行する隠棲の里となり、寂源が勝林院を、叡山東堂の堂衆であった良忍が来迎院を建立するなど多くの僧坊が営まれました。(本堂は右手の石段の上の高台にあります。)
良忍上人(1073-1132)は念仏三昧の一方で、来迎院と浄蓮華院を創建し、分裂していた天台声明の統一をはかり、大原(魚山)声明を完成させました。(梵鐘は室町時代の永享7年(1435)藤原国次作で京都市指定重要文化財です。)
本堂は室町時代中期に火災により焼失 室町時代後期の天文2年(1533)に再建されたものです。
本堂には、藤原時代の薬師如来、阿弥陀如来、釈迦如来の三尊像(いずれも重要文化財)を安置しています。脇侍は不動明王(左)と毘沙門天&右)で、こちらも藤原時代後期の作です。
天井に極楽浄土に舞う天女が描かれています。 本堂では、11月1日~30日の期間、如来蔵所蔵絵画 秋季特別公開として「比叡山の高僧と曼荼羅展」を開催していました。
比叡山で修業した4人の高僧の掛け軸が展示されていました。左から、「聖応大師(良忍上人)」、「恵心僧都源信」、「元三大師」、「伝教大師(最澄)」です。
慈覚大師(円仁)真筆と伝わる「両界曼荼羅鵜」、「融通大念仏縁起下巻」も展示されていました。下は「五仏頂曼荼羅掛軸」、仏頂とは仏・如来像を神格化した呼称で法要に用いられたそうです。不愛想な顔を仏頂面というのはこの意味が転じたものとか。
このときは紅葉の境内ですが、本堂の前にはツツジが植えられ、正面には呂川に面した門があります。
本堂の右手前の小高いところに鎮守社の祠があります。
鎮守社の左に「地蔵堂」があり、石仏は鎌倉時代の建立とみられています。
鎮守社の右に「五輪塔」があります。鎌倉時代中期のものと見られ、大原念仏寺の弘安9年(1286)銘の五輪塔より火輪などが異なる型式を持つことから、おそらくそれよりもやや古い時代の造立と推定されるそうです。
ところで、良忍上人が大原に隠棲して来迎院を開いたのは23歳のときです。その後46歳のとき(1117年)阿弥陀仏のお告げによって、「1人の念仏が万人の念仏に通じる」という自他の念仏が相即融合しあう「融通念仏」を創始しました。
後の世を待たずに、現世にだれもが速やかに智慧が輝き喜び溢れる幸せの世界に至ることができる、融通念仏の法門を授与されたといいます。(本堂の右から、良忍上人の御廟・三重石塔に参拝していきます。)
融通念仏を開いたとはいえ、いまだ民衆に広めることなく草庵に閑居していました。しかし、ある時鞍馬寺の多聞天王が姿を現し「尊い融通念仏を授かったのに、どうして人びとに勧めて救済しないのか」と告げられたといいます(律川を渡ります)。
この言葉に励まされ、良忍上人は天治元年(1124)はじめて市中に出て念仏の勧進を始めました。やがて上人の名は朝廷にも達し、鳥羽上皇は宮中に招いて皇后や官人らと融通念仏会を修して、自ら日課として念仏を唱えました。
鳥羽上皇は自ら製作した融通念仏勧進帳の最初に自分の名を書き、序文をしたためました。さらに、勅願により河内に日本初の念仏道場を開き、後に融通念佛宗の総本山の大念佛寺となりました。良忍上人は来迎院で亡くなりここに葬られています。
山門まで戻る途中に新しく建てられた収蔵庫の「如来蔵」があります。寺宝が重要文化財に指定されると、耐火機能がある収蔵庫に保管しなければいけないそうです
良忍上人が呂川の上流にある滝の前で声明の修行をしていると、声明と同調してついに滝の音が消えたという伝説があります。その滝は「音無の滝」と呼ばれ、来迎院から歩いて15分くらいの場所にあります。
ところで、来迎院の寺宝『伝教大師度縁案並僧綱牒』は最澄の得度や受戒に関わる文書類3点を一巻としたもので、最澄の伝記資料としてきわめて貴重なもので国宝に指定されています(東京国立博物館に寄託)。
また『日本霊異記 中下 2帖』は平安時代後期にさかのぼる日本霊異記の古写本で、同書の中・下巻の現存最古本として日本文学史上貴重なもので、こちらも国宝に指定されています(京都国立博物館に寄託)。
このあと、特別公開されている来迎院の支院・蓮成院を始めて訪れました。励みになりますので、ブログランキングの応援のクリック↓をして下さると嬉しいです。
★こちらを是非よろしく→
ブログ村→
-------------------------------------------------------------------

































































最近のコメント